ある日、家のチャイムが鳴ってドアを開けると、知らない人が「今だけお得なサービスです!」と話しかけてきた。お得だと思い、よく考えずに契約したけれど、あとで冷静になって「やっぱりいらない」と思ったことはありませんか?
そんなときに役立つのが「クーリングオフ」です。このしくみを知っておけば、もし間違えて契約してしまっても、お金を払わずにすむ場合があります。今回は、クーリングオフとは何か、どんなときに使えるのかを、やさしく説明します。
クーリングオフって何?
クーリングオフとは「契約したあとでも、決められた期間内なら取り消せるしくみ」です。訪問販売などで、急に契約してしまったときに使えます。お店で買ったものは使えませんが、家で契約したものや電話で申し込んだものなどは取り消せます。
たとえば、家に営業の人が来て「今決めると特別に安くなります!」と言われ、その場で申し込んでしまった。でもあとで「本当に必要かな?」と考えたら、いらなかった。このようなとき、クーリングオフを使うと契約をやめられます。
悪徳な訪問営業(あくとくなほうもんえいぎょう)にひっかからないためのコツ
どんなときにクーリングオフが使えるの?
クーリングオフは、訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法、エステや塾の長期間の契約、家のリフォーム工事の契約などで使えます。これらのケースでは、その場の勢いで契約してしまいがちです。しかし、冷静になったときに「やっぱりいらない」と思ったら、クーリングオフを利用できます。
たとえば、営業の人が家を訪れて高額な商品をすすめられたり、電話で「今だけお得ですよ」と強く勧められたりするケースがあります。また、友人から「これを買ってほかの人にも紹介すればお金が入る」と言われるマルチ商法のような勧誘もあります。さらに、エステや塾などで長期契約をしてしまい、後になって「そんなにお金を払えない」と思ったときにも使えます。
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まちがって契約をしたときに、契約をとりけせる仕組みだよ
クーリングオフが使えない場合
すべての契約でクーリングオフができるわけではありません。
お店で自分から買ったもの、ネットで申し込んだもの、飛行機のチケットやホテルの予約などは、クーリングオフの対象になりません。これらは自分の意思で契約したとみなされるため、原則として取り消すことはできません。
クーリングオフのやり方
クーリングオフをするには、まず「クーリングオフの期間」が終わっていないかを確認しましょう。クーリングオフは契約した日を含めて 8日間 までが基本です。(※契約の種類によっては期間が違うこともあります。)
契約をやめるためには「クーリングオフの通知」を業者に送る必要があります。これは書面で行うことが原則です。
はがきや手紙に「〇月〇日に契約した○○(商品やサービス)の契約をクーリングオフします。」と書くだけで大丈夫です。これを「内容証明郵便」で送ると、相手が「受け取っていない」と言い逃れできないので安心です。
クーリングオフをしたらお金は返ってくる?
クーリングオフをすると、払ったお金は全額戻ってきます。すでに商品を受け取っていても、返品すれば大丈夫です。もし「もう使ってしまった」場合は、業者に相談してみましょう。
クーリングオフが法律で決められているにもかかわらず「クーリングオフはできません」と業者が言うこともあります。そのような場合でも、あきらめずに消費生活センターなどに相談しましょう。
相談できる行政機関
クーリングオフをしたいけれど、やり方がわからない。業者が対応してくれない。そんなときは、公的な機関に相談できます。
全国にある消費生活センターでは、クーリングオフのやり方を教えてくれますし、トラブルがあった場合の対応もしてくれます。また、国民生活センターも同様のサポートを行っており、電話での相談も可能です。
法律の専門家に相談したい場合は「法テラス」を利用すると無料でアドバイスを受けることができます。さらに、市役所や区役所の消費生活相談窓口でも、契約やクーリングオフについて相談することができます。
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消費生活センターは無料で利用できるから安心してね! 消費生活センターの連絡先は、ここで確認できるよ→ 消費生活センター
まとめ
- クーリングオフは「契約を取り消せるしくみ」
- 訪問販売、電話勧誘、エステ契約などで使える
- 期間は 契約した日から8日以内 が基本
- クーリングオフするには「書面」で通知する
- お金は全額返ってくる
- 業者が拒否しても、消費生活センターに相談できる
知らないうちに契約しても、クーリングオフを使えば取り消せることがあります。トラブルに巻き込まれないように、このしくみをしっかり知っておきましょう。