友達から「すごくいい話があるよ!」と言われて会ってみたら、よくわからない商品を買うように勧められたり「この仕事をするとお金が増えるよ!」と言われたりしたことはありませんか?それはもしかすると「マルチ商法」かもしれません。
マルチ商法とは、人を勧誘して商品を売ることで利益を得るしくみです。しかし、このしくみには多くの危険があり、トラブルになることもあります。今回は、マルチ商法とは何か、なぜ危険なのかをやさしく説明します。
マルチ商法とは?
マルチ商法は、ただ商品を売るだけではなく「ほかの人に売らせて、その売上の一部をもらう」しくみです。
たとえば、あなたが友達に「この化粧品、すごくいいよ!」とすすめて、その友達が買ったとします。その友達がさらにほかの人に売ると、あなたにもお金が入るしくみです。
このような方法を使って、たくさんの人が商品を売るようになれば、上にいる人がどんどんお金をもらえるようになります。しかし、実際にはみんなが売れるわけではなく、商品が売れない人は、お金を失ってしまうことが多いのです。
なぜマルチ商法は危ない?
マルチ商法には、いくつかの大きな問題があります。
まず、最初に「高いお金を払って商品を買う必要がある」ことです。多くのマルチ商法では、商品を売るために「まず自分で買わないといけない」と言われます。たとえば、「最初に10万円分のサプリメントを買えば、あとは売るだけでお金が入るよ」など。しかし、売れなかった場合、その商品は自分で使うしかなく、結局大きな出費になります。
次に「知り合いを勧誘しないといけない」プレッシャーです。マルチ商法では、できるだけ多くの人に商品を買ってもらわないと利益が出ません。そのため、友達や家族に「これを買って!」と頼まなくてはいけなくなります。これが原因で、人間関係が悪くなったり、友達を失ったりすることがよくあります。
さらに「うまくいくのはごく一部の人だけ」だということも重要です。マルチ商法では、最初に始めた人ほど得をするしくみになっています。あとから入った人は、すでに商品が広まっているため、売るのがとても難しくなります。その結果、お金を払ったのに利益を得られず、損をする人がほとんどです。
マルチ商法とねずみ講の違い
マルチ商法と似たものに「ねずみ講」があります。ねずみ講は、商品を売らずに「お金だけを出して、新しい人を増やしていくしくみ」です。
たとえば、10万円を払うと「会員になれる」と言われ、その後ほかの人を勧誘すればお金が入るしくみです。
ねずみ講は法律で禁止されており、参加すると犯罪になることがあります。一方、マルチ商法は法律上は「違法ではない」こともあります。しかし、販売方法や勧誘のしかたによっては違法になることもあり、十分に注意が必要です。
マルチ商法に勧誘されたら?
もし、友達や知り合いから「いい話があるよ!」と誘われたら、まずは落ち着いて話を聞きましょう。そして、次のポイントを確認してください。お金を払わないと始められないか?「まず商品を買って」と言われたら注意が必要です。知り合いを勧誘するように言われるか?友達を誘わないといけないしくみは危険です。「絶対にもうかる」と言われるか?うまい話にはウラがある可能性が高いです。
もしこれらのポイントに当てはまるなら、慎重になりましょう。すぐに決めず、家族や信頼できる人に相談することが大切です。
相談できる場所
マルチ商法の勧誘を受けて困ったときや、すでにお金を払ってしまったときは、公的な機関に相談できます。
消費生活センターでは、契約トラブルやマルチ商法の相談ができます。国民生活センターでは、電話やウェブで相談でき、法テラスでは法律の専門家に相談できます。
これらの機関に相談すれば、適切なアドバイスを受けられます。
まとめ
- マルチ商法は、知り合いを勧誘して商品を売るしくみ
- 最初に高額な商品を買わされることが多い
- 知り合いを誘わないといけないプレッシャーがある
- 成功するのはごく一部の人だけ
- 「絶対にもうかる」はウソの可能性が高い
- 困ったら消費生活センターに相談しよう
マルチ商法は、一見すると「かんたんにお金が増えるしくみ」に見えるかもしれません。しかし、実際には多くの人が損をしてしまいます。「うまい話には気をつける」ことが、お金を守る第一歩です。